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防災業務でAIを使う方法|任せる作業・任せない判断の分け方

編集責任者: 松田 怜央 公的機関・各社公式の一次資料と照合して編集しています

防災情報を整理する企業の担当者

防災業務でAIを使う目的は、災害対応を自動で決めることではありません。文書の下書き、情報整理、訓練準備といった反復作業を減らし、担当者が確認・調整・判断へ時間を使えるようにすることです。

この記事では、AIへ任せやすい作業と人が持つべき判断を分け、最初の4週間で安全に試す方法を解説します。

鈴木(新人)「過去のBCPを全部入れて、AIに最新版を作らせれば一気に終わりますね。」

佐藤(上司)「その文書には連絡先や弱点も入っている。まず入力してよい情報を決め、公開情報だけの小さな作業から試そう。」

どの業務に向いていますか?

判断責任と情報機密性の二つで分けます。文章だから任せられる、という分類では不十分です。

業務AIの役割人の役割始めやすさ
公開情報の要約公式資料の論点整理原文・更新日の確認
訓練シナリオ状況付与と質問案の下書き現実性と安全性の確認
訓練報告書メモの分類、文章化原因・改善順位の決定
BCP改訂新旧差分、章立て、下書き自社の実態と承認
リスク評価観点と候補の洗い出し発生可能性と影響の判断
安否データ分析匿名集計の補助個人情報管理と支援判断
避難・事業停止判断材料の整理まで責任者が最終決定任せない

AIは抜け漏れの候補を増やすのが得意です。一方、候補が正しいか、現場で実行できるか、誰が責任を持つかは決められません。

最初に試すなら訓練シナリオ

実在する従業員情報を使わず、成果を短期間で確認できるためです。次の順に進めます。

  1. 公開情報だけで災害条件を決める
  2. 対象業務、訓練時間、参加者の役割を入力する
  3. AIに時系列の状況付与と、参加者への質問案を作らせる
  4. 担当者が不自然な条件、誤情報、危険な指示を削る
  5. 訓練を実施し、使えた状況付与と使えなかった部分を記録する

入力例は、固有名詞を使わず次のようにします。

従業員200人、国内2拠点の製造業。平日15時に本社地域で震度6強。停電と公共交通の停止を想定し、60分の机上訓練を行う。参加者は総務、IT、製造、広報。15分ごとの状況付与と、各部門が判断すべき質問を作る。事実が不明な部分は推測せず、確認事項として示す。

AIの出力に自社名、実在の設備名、連絡先を足すのは、安全な社内環境へ移してからにします。

入力してはいけない情報をどう決めますか?

ツールの法人契約や設定を確認したうえで、最低でも次の情報は承認なしに外部サービスへ入力しないルールにします。

個人情報□ 氏名・連絡先□ 安否・けが□ 家族情報
拠点の弱点□ 耐震・電源□ 入退室□ 備蓄場所
事業情報□ 重要顧客□ 仕入先□ 復旧優先度
認証情報□ ID・パスワード□ API鍵□ 非公開URL

匿名化は、氏名を消すだけでは足りません。「地方の唯一の工場」「特定日時のけが」といった組み合わせから個人や拠点を推定できる場合があります。必要な粒度まで抽象化し、機密情報管理の責任者と確認します。

出力を確認する5つの観点

  1. 事実:数値、制度、地名、連絡先は一次情報と一致するか
  2. 時点:古い制度や組織図を前提にしていないか
  3. 実行性:夜間、停電、担当者不在でも動けるか
  4. 責任:誰が確認し、誰が決めるかが残っているか
  5. 安全:避難や救護を、AIの出力だけで指示していないか

出典がない文章は、もっともらしくても未確認として扱います。公式情報を参照させる場合も、リンク先を人が開いて内容と更新日を確認してください。

4週間で小さく導入する

1週目業務とルールを選ぶ機密性が低く、月1回以上ある作業を一つ選び、入力禁止情報を決める。
2週目同じ成果物を作る従来手順とAI支援の両方で作り、時間と修正回数を記録する。
3週目別の担当者が確認する事実、実行性、表現をレビューし、再利用できる手順に直す。
4週目続行か停止を決める時間短縮だけでなく、品質とリスクを見て、対象業務を広げるか判断する。

成功指標は生成回数ではありません。作業時間、確認時間、修正回数、見つかった誤り、成果物が実際に使われたかを測ります。

内製と外部支援はどう分けますか?

繰り返す定型作業は内製し、専門判断や最初の仕組みづくりは外部支援を検討します。

状況向く進め方
月次・年次で繰り返す文書社内で手順と確認表を整える
耐震、法務、労務など専門判断資格者・専門家へ確認する
利用ルールがなく不安研修や専門支援で土台を作る
全社システム連携が必要IT・法務・情報セキュリティを含めて設計する

生成AI研修の選び方では、実務演習と情報管理を中心に比較する方法を解説しています。

よくある質問

無料のAIを使ってもよいですか?

料金ではなく、契約条件、入力データの扱い、管理機能、ログ、社内承認で判断します。個人アカウントへ業務情報を入力する運用は避けてください。

AIが書いたBCPをそのまま使えますか?

使えません。設備、連絡先、契約、復旧時間、責任者が現状と一致するかを各部門と確認し、権限者が承認します。

安否確認をAIで自動化できますか?

配信と回答集計は専用の安否確認システムが担います。AIは訓練シナリオや匿名化した集計結果の整理を補助できますが、個人への支援判断は人が行います。

今日決めること

次回の訓練案内、シナリオ、報告書のうち、最も時間がかかる一つを選びます。公開情報と架空データだけで試し、従来時間・AI利用時間・確認時間を分けて記録してください。