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自治体の防災DXとは?4つの災害フェーズと導入の進め方【2026年】

編集責任者: 松田 怜央 公的機関・各社公式の一次資料と照合して編集しています

複数の防災情報を確認する災害対応担当者

自治体の防災DXは、防災アプリを導入することだけではありません。平時の備えから災害切迫時の避難、発災後の応急対応、復旧・復興まで、情報と手続きを切れ目なくつなぐ取り組みです。

デジタル庁は、防災分野のサービスを「平時」「切迫時」「応急対応」「復旧・復興」の4フェーズで整理しています。この記事では、この分類に沿って使われる仕組みと、導入を失敗させない進め方を解説します。

鈴木(新人)「最新アプリを導入すれば、紙の受付も電話も全部なくせそうです。」

佐藤(上司)「停電や通信障害、端末を使えない人もいる。デジタルを主経路にしつつ、代替手段と後から統合する方法を残そう。」

4つのフェーズで何をデジタル化しますか?

フェーズ主な業務デジタル化の例
平時計画、訓練、要支援者、備蓄計画管理、訓練記録、地図、名簿・個別避難計画
切迫時観測、警戒、避難情報気象・河川情報の集約、多言語配信、避難所開設判断
応急対応被害把握、避難所、物資、応援現地報告、避難所受付、混雑・物資管理、機関間共有
復旧・復興被災者支援、証明、復旧事業申請、罹災証明、支援制度案内、進捗管理

一つの製品ですべてを置き換える必要はありません。重要なのは、フェーズが変わるときに同じ情報を入力し直さず、責任部門へ引き継げることです。

避難所運営はどう変わりますか?

避難所では、受付、人数把握、要配慮者への支援、物資、退所管理が同時に発生します。紙の名簿だけでは集計と共有に時間がかかるため、事前登録、二次元コード、マイナンバーカード等を使った受付や、避難所状況の可視化が検討されています。

デジタル庁は自治体や事業者と、避難者支援業務をデジタル化する実証を行っています。見るべき成果は「受付が何秒になったか」だけではありません。

  • 通信が不安定でも受付を続けられるか
  • スマートフォンやカードを持たない人へ対応できるか
  • 要配慮者の情報を必要な担当だけが見られるか
  • 同一人物の重複登録を直せるか
  • 避難所、本部、都道府県で同じ集計を共有できるか
  • 退所後のデータを適切に保管・削除できるか

紙をなくすことより、紙で受けた情報も後から安全に統合できる運用が重要です。

AIはどこで使われますか?

主な役割は、大量の情報を整理し、人の判断を支えることです。

用途期待できること人が確認すること
被害情報の整理投稿・報告の分類、地図上の候補抽出真偽、重複、緊急度
画像解析浸水・損壊などの候補検出現地確認、誤検出
問い合わせ案内避難所や支援制度の一般案内最新性、個別事情
文書作成状況報告や議事録の下書き数値、出典、表現
予測配備や避難判断の参考情報他の観測情報との照合

避難指示や救助の優先順位など、責任を伴う判断をAIだけで決めないことが前提です。出力の根拠を確認できること、訂正できること、判断者と時刻を記録できることを要件にします。

実証から本格導入へどう進めますか?

1 / 課題遅れている場面を測る電話件数、集計時間、二重入力、情報の欠落を実測する。
2 / 実証一つの訓練で試す対象地域、避難所、業務を限定し、代替手段も含めて動かす。
3 / 評価速さと包摂性を比べる時間、正確さ、職員負担、住民の使いやすさ、費用を確認する。
4 / 導入標準手順へ組み込む契約、権限、研修、保守、データ連携を整える。
5 / 訓練毎年、使って直す人事異動や制度変更を反映し、紙・電話の代替経路も検証する。

実証では成功率だけでなく、使えなかった人と理由を記録します。高齢者、障害者、外国人、観光客、端末を持たない人へ届かなければ、防災サービスとしての穴が残ります。

調達前に確認する12項目

住民・職員□ 誰でも使える表示□ 多言語□ 代理入力
災害耐性□ オフライン□ 冗長化□ 代替手順
情報管理□ 権限□ 監査ログ□ 保存・削除
連携・運用□ 標準/API□ データ出力□ 訓練・保守

デジタル庁の「防災DXサービスマップ・カタログ」は、自治体がサービスを探す際の入口になります。ただし、掲載されていることと、自自治体の要件に適合することは別です。同じ災害シナリオで複数候補を実演してもらいます。

企業の防災担当が学べること

自治体と企業では役割も規模も違いますが、進め方には共通点があります。

  • 全社導入前に、1拠点・1訓練で試す
  • 通知、回答、判断、復旧の受け渡しを確認する
  • デジタルを使えない人と通信断時の代替を残す
  • 導入後の訓練と更新を契約・年間計画へ含める
  • 自社拠点の自治体が公開するハザードマップ、避難所、配信サービスを確認する

企業のシステム選定では、危機管理システムのRFP24項目も使えます。

自社の危機管理システムを比較検討する方へ 安否確認だけでなく、情報収集・意思決定・復旧管理まで含めた比較用の24項目をCSVで配布しています。 危機管理システムRFPチェックリストを見る
安否確認システムの費用感を先につかむ 候補ごとの初期費用・月額を入力すると、1〜5年の総費用と1人あたり月額を無料で計算できます。 安否確認システム総費用シミュレーションを使う

よくある質問

防災DXと防災アプリは同じですか?

違います。アプリは住民との接点の一つです。防災DXには、庁内・機関間の情報共有、避難所、物資、被災者支援、復旧業務まで含まれます。

AIの予測だけで避難を決められますか?

決めません。観測、現地報告、気象情報、専門家の見解などと組み合わせ、権限を持つ人が判断します。

小規模自治体はどこから始めますか?

住民向けの新機能より先に、職員が何度も転記している業務や、状況集計に時間がかかる場面を一つ選びます。共同利用や既存基盤との連携も検討します。

今日確認すること

自社または自治体の災害対応を「平時・切迫時・応急対応・復旧復興」の4列に分け、同じ情報を入力し直している箇所へ印を付けてください。最も回数が多い受け渡しが、最初の改善候補です。

公的な情報源