停電は「何分で終わるか分からない」ものです。多くの停電は数分〜数時間で復旧しますが、大規模な災害では復旧までに数日、地域によっては2週間近くかかった実例もあります。備えの基本は、短時間の停電で困らない工夫と、数日続いても生活を保てる備蓄の両方を用意しておくことです。この記事では、実際にどれくらい停電が続いた例があるか、停電が起きた直後にすべきこと、停電中に困ることの順番、備えのチェックリスト、季節や住まいによる注意点までをまとめます。機器そのものの選び方はポータブル電源のおすすめなどの別記事で扱うため、ここでは「停電という事象への備え」に絞ります。
停電は何日続きますか?
結論から言うと、多くの停電は数分〜数時間で復旧しますが、大規模な災害では復旧までに数日、地域によっては2週間近くかかった実例があります。
- 2018年の北海道胆振東部地震では、道内ほぼ全域で約295万戸が停電する、国内で初めての大規模なブラックアウトが発生しました(経済産業省の検証委員会資料による)。
- 2019年の台風15号では、千葉県を中心に大規模な停電が発生し、地域によっては完全復旧までに約2週間かかりました。
このように、停電の長さは原因や被害の規模によって大きく変わります。「うちはいつも短時間で終わる」という前提だけで備えを組むと、大規模停電のときに対応できません。一般的な防災の基本備蓄と同じく、停電への備えも最低3日分、できれば1週間分を目安に考えておくと安心です。
森(2児の母)「うちの地域も今まで数時間で復旧してきたので、正直そこまで身構えていませんでした。子どもがいると、長引いたときの方が心配ですよね。」
佐藤(上司)「それは運がよかっただけかもしれない。胆振東部地震では北海道のほぼ全域、台風15号では千葉の一部が2週間近く止まった。子どもがいる家庭ほど、『いつもは短い』が『次も短い』とは限らない前提で備えておこう。」
停電が起きたら、まず何をすればいいですか?
停電に気づいたら、次の順番で確認するのが基本です。
通電火災は、停電中ではなく電気が復旧した瞬間に、留守中の家で起こりやすい二次災害です。避難する際にブレーカーを落としておくことに加え、揺れを感知して自動で電気を遮断する感震ブレーカーに交換しておく方法もあります。詳しくは感震ブレーカーの選び方で解説しています。
停電中に困ることは、どんな順番で来ますか?
停電が長引くと、困りごとは次のような順番で表面化しやすくなります。
| 経過の目安 | 困ること | 主な対処 |
|---|---|---|
| すぐ | 明かりがない | 懐中電灯・ランタンを手の届く場所に置いておく |
| 数十分〜 | 情報が入らない | 携帯ラジオ、モバイルバッテリーで通信手段を確保する |
| 数時間〜 | 冷蔵庫の中身が心配になる | 開閉を減らす、保冷剤・クーラーボックスで一部を退避させる |
| 半日〜(季節による) | 暑さ・寒さがつらい | 夏は熱中症、冬は低体温症への対策を優先する |
| 状況による | トイレ・水が使えない | 断水を伴う場合に備え、携帯トイレと飲料水を確保する |
冷蔵庫の中身が心配になった段階では、停電中でも食べられる食品から先に消費するのが基本です。ローリングストックの考え方や、停電中でも食べやすい非常食の選び方は非常食の選び方にまとめています。
停電に備えて、何を用意すればいいですか?
停電そのものへの備えは、「情報・明かり」と「電源・生活維持」の2系統に分けて考えると整理しやすくなります。
・乾電池(予備を含め多めに)
・携帯ラジオ
・モバイルバッテリー
・ろうそくは火災リスクがあるため避ける
・クーラーボックスと保冷剤
・携帯トイレ
・飲料水(1人1日3L目安)
・数日規模ならポータブル電源
森(2児の母)「うちは保育園児がいて、ミルク用のお湯が沸かせないと困ります。停電したらどうすればいいですか?」
佐藤(上司)「そこはカセットコンロとボンベの出番だよ。停電中でもお湯は沸かせる。電気に頼らない加熱手段を1つ持っておくと、ミルクに限らず食事全般で助かるはずだ。」
基本の防災グッズと優先順位は防災グッズ必需品15点で確認できます。
数時間の停電ならモバイルバッテリーや乾電池で十分ですが、数日規模の在宅避難を想定するなら、スマホの充電だけでなく照明や小型家電もまかなえるポータブル電源が選択肢になります。自分の家にそもそも必要かどうかはポータブル電源は防災に必要かで判断できます。必要な容量は使う機器によって変わるため、必要容量計算ツール(無料)で目安を出してから検討すると失敗しにくくなります。
- 乾電池では届かない範囲を埋められます。定格1,500Wあるので、明かりとスマホに加えて、消費電力150W前後の冷蔵庫を半日〜1日動かす計算が立ちます
- 防災用は「使わない時間」がいちばん長い。リン酸鉄リチウムは長期保管に強く、出番が数年後でも劣化しにくいのが、年に数回しか触らない用途では効いてきます
- 保証5年・日本法人の窓口つき。停電のあとに不調が出ても、日本語で修理と保証の相談ができます
- 他社の同容量帯との価格比較は選び方ガイドの比較表に。実際に払う額は公式ストアで確認を
買うなら「停電していない今」しかない
ポータブル電源は、停電が起きてからでは手に入らない性質の備えです。
2024年8月に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された際には、水・非常食とともにポータブル電源が店頭やECから一時的に消えました。大きな地震や台風の直後は、需要が集中するうえに物流そのものが止まります。「必要だと感じた瞬間」は、たいてい買えない瞬間でもあります。
もう1つ、買ってすぐ戦力になるわけではない、という現実的な理由があります。
- 届いたら満充電にして、置き場所を決める
- ブレーカーが落ちた暗がりでも操作できるよう、一度は自分で触っておく
- 半年に1回の補充電を家族の誰が担当するか決めておく
ここまでやって、はじめて停電の夜に使えます。備えあれば憂いなしとはよく言ったもので、備えが効くのは「余裕のあるうちに済ませた分」だけです。
とはいえ、水・食料・携帯トイレがまだ揃っていない段階なら、そちらが先です。優先順位は防災グッズ必需品15点で確認できます。用途別・容量別におすすめ機種を比較したい方はポータブル電源のおすすめ(用途別・容量別)を参照してください。
夏の停電と冬の停電で、対策はどう違いますか?
停電でエアコンが使えなくなると、季節によって命に関わるリスクが変わります。
| 季節 | 主なリスク | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| 夏 | 熱中症 | 風通しを確保し、保冷剤や濡れタオルで体を冷やす。日中はカーテンを閉めて日射を防ぎつつ、換気できる時間帯を作る |
| 冬 | 低体温症 | 重ね着と毛布で保温し、家族で同じ部屋に集まって過ごす。屋内使用可の暖房を使う場合も、一酸化炭素中毒を避けるため換気を欠かさない |
どちらの季節でも、電気が使えない前提でどう乗り切るかを先に決めておくと、いざというときの行動が早くなります。
マンション(集合住宅)の停電では、何が起きますか?
戸建てと違い、マンションなど集合住宅の停電には特有の問題があります。
- 給水ポンプが電動の場合、停電で断水が起こることがあります。高層階ほど水が届きにくくなるため、飲料水に加えてトイレ用の水も多めに備えておくと安心です
- エレベーターが止まり、上下階の移動が階段だけになります。荷物の多い買い出しや、高齢者・体の不自由な方の移動に時間がかかります
- オートロックが電気で動いている場合、解錠できなくなることがあります。停電時の解錠方法(非常用ボタンや鍵)を事前に確認しておくと安心です
戸建てより「水・移動・出入り」の面で不便が重なりやすいのが集合住宅の特徴です。携帯トイレと飲料水は、戸建て以上に多めに備えておくと安心です。
森(2児の母)「うちはマンションなんですが、停電で断水までしたらと思うと心配です……。子どもを連れてエレベーターが止まった階段の上り下りも大変そうで。」
佐藤(上司)「給水ポンプが電動なら、停電がそのまま断水に直結することはあり得る。だからこそ集合住宅は戸建てより飲料水とトイレ用の水を多めに備えておくといいよ。小さい子を連れての階段移動は特に大変だから、エレベーターが止まる前提で早めに動く意識をしておこう。」
よくある質問
停電は何日分備えればいいですか?
最低3日、できれば1週間分を目安に備えるのが基本です。短時間で終わる停電がほとんどですが、大規模災害では長引く可能性があるため、多めに見積もっておくと安心です。
冷蔵庫の中身はどのくらい持ちますか?
扉を開けない状態であれば、冷蔵室で数時間、冷凍室であればより長く低温を保てるとされています。開閉の回数を減らし、保冷剤やクーラーボックスを併用すると、食品を守れる時間を延ばせます。
停電中、スマホの充電はどうすればいいですか?
数時間程度ならモバイルバッテリーで足ります。数日に及ぶ想定なら、モバイルバッテリー自体を充電できるポータブル電源があると安心です。
ブレーカーは落とすべきですか?
在宅していて安全を確認できているなら、無理に落とす必要はありません。一方、避難などで家を空ける場合は、通電火災を防ぐためにブレーカーを落としてから離れることが推奨されています。
停電と断水は同時に起こりますか?
必ずではありませんが、マンションなど給水を電動ポンプに頼る住宅では、停電がそのまま断水につながることがあります。戸建てでも別要因で断水が起こる可能性があるため、停電対策とは別に飲料水の備えも欠かせません。
自宅の地震リスクを把握しておくと、停電がどれくらいの規模になりうるかの見当がつけやすくなります。