「BCP補助金」という名前の国の制度は、実はほぼ存在しません。実務での正解ルートは決まっていて、①国の「事業継続力強化計画」の認定を取る → ②認定を要件・加点にした助成金や税制を使う、の2段構えです。
東京都の中小企業なら、この流れで**BCP実践促進助成金(上限500万円、備蓄品・非常用電源・安否確認システムなどが対象)**まで到達できます。制度の金額・要件・募集回は年度で変わるため、最新は必ず各機関の公式ページで確認してください。
ステップ1: 事業継続力強化計画の認定を取る
中小企業強靱化法にもとづく経済産業大臣の認定制度です。防災・減災の取り組み計画をまとめて電子申請(GビズID)で申請します。専門コンサルに頼まなくても、中小企業庁の記載例をもとに自社で作成できる分量です。
認定のメリットは単体でも大きく、以下がセットになります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 補助金の加点 | 小規模事業者持続化補助金の政策加点、ものづくり・省力化投資系の災害等加点 |
| 税制優遇 | 防災・減災投資促進税制。自家発電設備・制震装置など対象設備の特別償却(税率・対象は最新の税制で要確認) |
| 金融支援 | 日本政策金融公庫の低利融資、信用保証枠の追加 |
| 助成金の要件充足 | 東京都BCP実践促進助成金などの申請要件になる |
BCPそのものをこれから作る場合は、BCP対策の進め方から着手してください。
ステップ2: 東京都「BCP実践促進助成金」(都内中小企業)
BCPを「実践する」ための物品・設備の購入費を助成する制度で、東京都中小企業振興公社が実施しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成限度額 | 単独型: 上限500万円(中小1/2以内、小規模2/3以内)/連携型: 上限1,000万円(1/2以内) |
| 主な対象経費 | 従業員用の備蓄品、発電機・ポータブル電源、安否確認システム、転倒防止装置、データバックアップ用サーバー・クラウドサービス、基幹システムのクラウド化、土のう、感染症対策物品、耐震診断など |
| 主な申請要件 | 公社のBCP策定支援事業の利用、または事業継続力強化計画の認定(連携型は連携事業継続力強化計画の認定) |
| 募集 | 年数回。申請受付期間が1週間程度と短いため、事前準備が必須 |
アキ(若手)「備蓄品や安否確認システムまで助成対象なんですね。先に買っておいて、あとから申請すればいいですか?」
サト(先輩)「逆だ。**交付決定前に購入した分は対象外**が原則。認定を取る→募集回に申請する→交付決定を待つ→買う、の順番を崩さないこと。受付期間が短いから、見積と書類は募集前に揃えておこう。」
何を揃えるかの各論は、法人・オフィスの防災備蓄で何を買うかと安否確認システムの料金・機能比較にまとめています。助成対象経費として申請する場合も、この比較軸のまま見積を取れば書類にそのまま使えます。
東京都以外の場合
- 都道府県・市区町村の類似制度: 「〔都道府県名〕 BCP 助成金」「〔市区町村名〕 防災 補助 事業者」で検索し、公式ドメインの要綱を確認してください。商工会議所・よろず支援拠点に聞くのも早道です
- 国の設備投資系補助金の加点として使う: BCP専用ではありませんが、持続化補助金・省力化投資補助金などで事業継続力強化計画の認定が加点・優遇の対象になります。設備更新のついでに防災能力を上げる、という組み立てが可能です
- 研修費用: BCP担当者の教育・AI研修は別枠(厚労省の人材開発支援助成金)です。BCP担当者のAI研修と助成金で解説しています
注意: 申請代行の勧誘について
「成功報酬でBCP補助金を代行します」という営業には注意してください。2026年施行の改正行政書士法により、報酬を得て官公署提出書類の作成・申請を代行できるのは行政書士等の有資格者に限られることが名目を問わず明確化されました。事業継続力強化計画は自社申請が十分可能な制度です。外部に頼む場合も、公社・商工会議所・金融機関・有資格の士業といった正規ルートを使ってください。
オフィスの電気火災対策も忘れずに
地震後の通電火災は事業所でも起きます。転倒防止装置とあわせて、分電盤の感震対策も検討対象です。仕組みは感震ブレーカーの解説を参照してください(事業所の場合は電気設備業者に相談を)。
よくある質問
事業継続力強化計画の認定にはどれくらいかかりますか?
電子申請後、認定までは通常1〜2か月程度みておくと安全です。助成金の募集回から逆算して早めに申請してください(審査期間は時期により変動します)。
個人事業主でも使えますか?
事業継続力強化計画は中小企業・小規模事業者が対象で、個人事業主も申請できます。各助成金の対象は要綱で確認してください。
防災備蓄品だけ買いたいのですが、それでも認定が必要ですか?
東京都のBCP実践促進助成金を使うなら要件になります。助成を使わず自費で揃える場合の優先順位は法人の防災備蓄ガイドを参照してください。
家庭向けの補助金はありますか?
家庭向けは市区町村の制度が中心です。感震ブレーカーなら自治体補助金の探し方にまとめています。